敷地はつくば市大貫、北条の西側に位置し、周囲には長屋門、古い民家の残る歴史ある集落内に立地。建物は明治23年に建てられ築120年が経っています。また、昭和36年に茅葺屋根から現在の瓦屋根に改修されました。当時としては欅の柱が随所に使用されていることと、柱の断面が大きい事が特徴的でした。
施主のご要望は、30数年前のリフォ-ムの際に、新建材で塞がれてしまった、かつての土間の大黒柱や梁・桁を再び現して、古民家らしい風情(陰翳礼讃)ある家としたい、また隣接する物置空間を、明るく機能的な水廻りとし、農作業(趣味)の為の土間空間と使い勝手の良いプランにしたいとの事でした。
I様邸の工事は建物全体でなく、土間空間をメインに延べ床面積の約38%に相当します約21坪の、部分再生という形になりました。部分再生は私も初めてのケ-スでしたが、古民家の場合、これまでに幾多の修繕をしている為、建物の状態が場所によって異なることもあり、今後の再生工事の一つの手法として行きたいと思いました。
工事は新建材を撤去して、創建時の状態に戻す作業から始まりました。120年の時を経た、黒いチョウナ削りの梁や桁が、生活の中心の場に、シンボリックに甦りました。土間の床は冷えるのでチ-ク材を張り床暖房とし、また、モダンデザインのキッチンとの間に引き戸を設け、和の空間からモダン空間が直接見えないようにしました。基本的に事前調査は行いましたが、はっきりと分からない部分も多く、現場での変更がいくつか発生しましたが、大工さんはその都度、こちらの要望に対して技術と気概をもってあたってくれました。


