建主様より「築240年以上の大きな古民家があるのでこれを利用して地域の暮らしに合った環境負荷の少ない建築をつくりたい」と相談を受け、調査を行いました。
調査の結果は、土台や梁は劣化・腐食が見られましたが、小屋裏は状態がよく、特に土間上部の梁材は立派な材料で、劣化・腐食もほとんど見られませんでした。そこで、この梁組みを甦らせ新たな家のシンボルとすることとし、設計を進めました。
外観は切り妻の大屋根とし、建物正面に土庇を設けました。屋根は地場産のいぶし瓦で葺き、外壁の仕上げはドイツ下見板張りと漆喰塗としました。
チョウナ削りの豪快な梁組みは家の中心であるリビングルームとダイニングキッチンの上部に再生しました。梁の組み方は意匠・構造のバランスを考えて変更し、同様の理由で、小屋梁も2段増やしました。幾重にも絡み合いながら重なる黒く太い梁が、二百十数年の時を経て甦った。仰ぎ見ると、自然の持つ力強い生命力と古材独特の優雅な曲線の美しさ、手仕事の温もりを感じることができます。
新たに使用した杉・檜の材木は、天然乾燥の地場産材を使用しています。内装の仕上げは肌触りと調湿機能を考えて杉板張り及び珪藻土塗としました。
夏の日差しは土庇がさえぎり、土間で冷やされた涼風が室内を通り抜けます。冬の寒さには、十分な断熱を施し、屋根・外壁に通気工法を取り入れました。暖房は北欧製の高性能な薪ストーブを設置しています。建具は木製サッシ及び樹脂サッシとしました。
