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CASE 04

黒船来航より160年の時を刻み、そして未来へ住み継がれる。

Ma邸 古民家再生工事 つくば市 2011

コンセプト

 この民家は、つくば市北太田という古い歴史を持つ集落内にあり、ご家族の話しによると、1852年(嘉永5年)に同じ集落内にあった、本家住宅の建替えの際の古材を、譲り受けて建てたとの事。黒船来航より一年早い歴史ある建物を創建時から160年が経った今、親夫婦・子夫婦・孫夫婦・ひ孫の4世代8人の家族が暮らす現代住宅として再生しました。
 設計の基本として、古民家の持つ素朴さや伝統的な技法を活かしながら、居住性や耐震性、省エネ対策を充分に備えること、県産材の杉・檜、漆喰等の自然素材を用いる等としました。
 この家の特徴である和室三間(広間、8畳、奥座敷)は創建時の意匠を再現し、かつての横座と部屋は梁を現しにしたモダンなダイニングキッチンへ。漬物用の土間は孫夫婦のLDKとしました。外観は集落の景観に調和するように、創建時の柔らかな茅葺屋根をモチーフに、寄棟ムクリ屋根の蛤葺きとし、外壁は下見板張りに漆喰塗りとしました。今回の工事を通して改めて古民家が時代の変化にフレキシブルに対応できる工法であること、関東大震災、東日本大震災という二つの震災に耐えた粘りのある構造であること、古材に残る手仕事の跡や生活の香りが、現代の暮らしに懐かしさや温もりを与えてくれる事など、現代社会にとても大切な存在であることを認識しました。施主のM様より再生のご相談を頂いてから間もなく2年を迎えようとしています。この先五十年、百年と住み継がれて行くことを願ってやみません。

完成までのブログ
特徴
写真

(左)洗い出しの土間玄関を入ると、歴史を感じる柱や差し鴨居が優しい表情で迎えてくれます。(上)かつての横座と部屋をダイニング及びキッチンへ、天井は梁を現しにしました。(下)対面式キッチンは上部にトップライトを設け、自然光を取り入れました。

写真

(左)かつての広間はそのままに床を一部檜張りとし、建具はDKに光が入るように枡格子戸へ替えました。(右)北側廊下、光を室内へ入れるために枡格子戸にしました。

写真

(左)8畳間から右に奥座敷、左に広間を見る。この三間は柱、鴨居以外は新材ですが、創建時のデザインに忠実に再現しました。(上)奥座敷の長押しに付いた"釘隠し"にも歴史の風格を感じます。(下)日当たりのよい、土間空間を親世帯の寝室にしました。

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(左)廊下の突き当たり、プライベ-トな洗面所と扉の奥にトイレを設けました。(右)寝室、かつて土間空間で梁の位置が低い為、梁の上に天井を作りました。

写真

かつての茅葺屋根をモチ-フにしました。屋根全体にむくりを付けて蛤葺きとし、柔らかさを表現しました。

コンセプト
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コンセプト

所 在

つくば市

敷地面積

1123.96㎡

建築面積

84.00㎡(55.67坪)

延床面積

211.36㎡

構造・用途

木造2階  一戸建ての住宅

概 要

1F 玄関(土間)、リビング、ダイニングキッチンA・B、和室A・B、寝室、主寝室、洗面脱衣室、UB、トイレA・B、広縁
2F 小屋裏A・B

竣 工

2011年 11月

担 当

吉田・内田

設 計

㈲吉田建築計画事務所

家族構成

ご夫婦(50代)

敷地環境

集落地

外部仕上げ

屋根:金属屋根・蛤葺き 外壁:漆喰塗り・簓子下見板張り

内部仕上げ

天井:杉縁甲板・竿縁天井 壁:珪藻土塗り 床:檜縁甲板、畳
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