
この保育園は、老人介護福祉施設及び障がい児のための学童クラブを運営する法人が、職員の福利厚生の一環および、地域の子供たちの受け入れも視野に入れた、企業主導型保育事業として計画されました。
子供たちは親の出社と一緒に登園し退社と共に降園します。職場と保育園が隣接しているので、時には保育園での子供の様子を見ることや、一緒に昼食をとることも可能です。また社員同士が、お互いの子供のお世話をしたりするケースもある、新しい保育園の仕組みです。
立地は関東平野の中央に位置し、敷地周辺は平地林や畑の広がるみどり豊かな自然環境に恵まれた場所です。
定員が19名の小規模保育園であることから、子供たちがリラックスして、一日が過ごせるよう、家庭的な雰囲気づくりをコンセプトに木造の平屋建てとし、安全・安心を基本に、先生方がどこからでも子供たちの様子を見通しやすい構成としました。
保育室の隣には縁側およびデッキテラスを設けるなど、普段の生活を通して自然環境と積極的につがる環境づくりを目指しました。
室内空間は、床・壁・天井そして建具や家具にも地場産材の桧やスギの自然素材をつかった、職人さんの手づくりによる温もりのある空間となっています。大きな窓からは陽の光が降り注ぎ、さわやかな風が室内を通りぬけます。
子供たちが保育園での日々の経験・体験を通して、感性豊かにそしてのびのびと成長できることを願っています。

建物と一体的な大きなウッドデッキを設けました。子どもたちは日常的に、室内外を自由に行ったり来たりして、自然とのつながりを園での生活を通して体験することができます。
0歳・1歳・2歳児室は木柵を可動することで、園児数の増減や子供たちの運動量に対応できるよう配慮しています。また、通風や採光を十分にとり、開放的で健康的な室内環境を整えました。
3歳・4歳・5歳児室は、保育室の外側に縁側空間を設けています。建具の開閉によって、大きな空間と独立した空間とに使い分けができ、様々な保育のシチュエーションに対応が可能です。また、随所に無垢の木を使うことで、温もりのある雰囲気と転んだりぶつかったりしても柔らかな素材の為、子供たちの安全安心にも繋がっています。
保育園の中心となるホール兼ランチルームは広々とした吹抜け空間。トップライトとハイサイド窓からのレインボーカラーの自然光が、明るくのびのびとした集いの場所になっています。
ランチルームとしても使うホールからは、食育の観点から、子どもたちの食への関心がより高まるよう、子ども目線を重視して厨房の位置をレイアウトしました。調理の先生方と自然にコミュニケーションがとれる雰囲気づくりを意識しました。
中庭を囲むコの字型の平面プランになっています。保育室は十分な採光と通風、そして、各室から互いの様子が分かります。また大きなデッキテラスは保育室の一部ともなり、運動量の多い子供たちにものびのびと体を動かすことができます。
トイレは衛生管理やメンテナンス性、収納スペースに配慮しつつ、子どもたちが木の香りや温もりを感じながら、落ち着いた雰囲気で楽しく排せつができるよう色彩や素材感を吟味しました。

県央の杜保育園 園長 加納玲子
「子どもたちを見守り寄り添う園舎」
残暑が残る平成30年9月1日、「県央の杜保育園」が開園いたしました。まわりの森にしっくりと溶け込んだ赤いとんがり屋根が可愛らしい保育園となり、地元茨城産の杉・檜をふんだんに使った園舎は、あたたかいぬくもりのある雰囲気をそこここに漂わせています。保護者や来園の方々からは「木のよい香りが漂い落ち着きますね」という声を沢山いただいています。
日中は、ホール上の高窓から赤・青・黄・緑のステンドグラスを通し明るい日差しが差し込み、南向きの廊下は縁側のようにたくさんの陽光を浴び、園舎が子どもたちの元気な声を笑顔を見守ってくれているようです。
夕方になると、真っ暗な森の中、保育園内に赤・青・黄・緑のステンドグラスが鮮明に映し出され子どもたちをやさしく包み込み、お迎えを待つさみしい心を和らげてくれているようにも見え、園舎が子どもたちの心に寄り添ってくれているような感覚を覚えます。
これから、何年も何十年もこの地にどっしりと根を下ろし、お別れ…出会い…を繰り返しながら、明るくのびのびと健やかに育っていくたくさんの子どもたちを見守っていってくれることでしょう。
すばらしい園舎を、ありがとうございました。