敷地は日立市諏訪町、小高い丘の北斜面を切土して平らにした比較的狭小な場所に位置します。既存園の定員増に伴い、0歳児(20名)と病児保育室、保育士休憩室を含んだ木造平屋建ての園舎として敷地を拡張し別棟に増築しました。
乳児棟は狭い路地を入った住宅地の行き止まりにあり、閉塞感のある場所であることから入り口となる北側外観は、円形の柔らかいフォルムを金属で覆った近未来的なファサードとし、子供たちがわくわくするようなデザインとしました。
建物正面(南側)の一段高い位置に2階建ての既存園舎が建っているため、採光と眺望の確保から園庭を半円形とし、そこへ沿って各室を連続させました。大きなガラス面からは、自然光が角度を変えながら一日中室内へと差し込みます。また建具を開けると深い軒下で外遊びのできる縁側テラスへと続き、自然との一体的な広がりを体感できます。
カーブする大屋根で覆われた内部空間は、南面に保育室を設け囲うように必要諸室を配置、どの部屋からでも保育室へと視線が通ります。縁側テラスに沿った曲線の連続する空間は子どもの目線からは、カーブする小さな〝もり〟の小道を歩いているような先の見通せない、わくわくした期待感が沸いて来ることでしょう。つきあたりのフルオープンの建具を開けると、円形のウッドデッキへと繋がります。内と外、内と内、お互いの視線が自然に交差し、保育士はどこにてもこどもたちを見守ることが出来ます。


