本計画は、10年前に設計を担当させていただいた南高野保育園の敷地拡張に伴う、遊戯室棟・茶室棟の増築計画です。
これまでは、敷地面積の制約から十分な遊戯室を確保することができず、天候に左右される保育環境が課題となっていました。今回の計画では、新たな遊戯室を整備することで、年間を通してダンスや運動などの活動を安全かつ伸びやかに行える環境を実現しました。また、茶室を設けることで、日本文化に親しむ機会を日常の保育の中に取り込み、多様な学びの場を創出しています。
建物は、構造材・造作材のすべてに100%茨城県産檜・杉を使用し、木の香りや温もりを身近に感じられる空間としました。さらに建物の前面には、縁側のような半外部空間を設け、室内と園庭をゆるやかにつなぐことで、子どもたちが自由に行き来しながら、遊びや交流、自然との触れ合いが自然に生まれる環境を目指しました。このような空間は、主体性や協調性、創造力といった非認知能力を育む保育環境としても重要な役割を担っています。
また、茨城県産木材の積極的な活用は、地域の森林資源の循環利用を促し、持続可能な地域づくりにも貢献しています。子どもたちの成長を支える保育環境と、地域の自然環境の保全を両立させることも、本計画の重要なテーマとしました。
広々とした園庭、天候に左右されない遊戯室、そして日本文化に触れる茶室が一体となることで、保育環境はより豊かで多様な学びを育む場へと発展しました。本計画では、木の温もりや風、光、自然を身近に感じながら、子どもたち一人ひとりの主体的な成長を支える建築を目指しています。
「本計画では、建築は子どもたちに何かを教えるものではなく、自然や人との関わりの中で、自ら気づき、発見し、成長していく営みを静かに支える「器」であるという考えのもと、木と縁側を中心とした保育環境を実現しました。」
